後継者が「決まっている」企業は28.0%で過去最低

 大阪シティ信用金庫が府内の中小企業を対象に7月上旬に実施した「中小企業における後継者問題調査」結果(有効回答数1307社)によると、企業経営者の年齢は、「50歳代」が31.3%で最も多い。ただ、「60歳代」が21.8%、「70歳以上」が13.4%で、これらを合計すると、事業承継の準備に着手すべき時期を迎えている「60 歳以上」は 35.2%となり、50歳代の割合を超え、全体の3分の1を超える高水準で推移している。

 後継者の決定状況をみると、「すでに決まっている」とする決定企業は28.0%だった。一方、「決まっていない(未決定)」企業は58.5%であり、その内訳は、「まだ決める時期ではない」という時期尚早企業が41.8%、「決める必要があるが決まらない」という未定企業が16.7%となっている。また、「自分の代限りにするので後継者は不要」とする廃業予定企業は13.5%だった。

 これを調査を開始した2002年からの推移でみると、「決まっている(決定企業)」の割合は過去最低を記録した。また、「未定企業」企業は2018年から増加傾向となっている。経営者の年齢別でみると、「決まっている」企業割合は年齢が高い層ほど高いものの、60歳代の企業(44.2%)でも半数に満たず、引退平均年齢を超える 70歳以上の企業においても後継者が「決まっていない」企業(20.7%)が約2割ある。

 後継者候補については、「子供」と答えた経営者が80.0%で圧倒的に多く、これに「子供以外の親族」の11.5%を加えた親族内承継は91.5%と9割を超える。一方、「親族以外の役員・従業員」と答えた経営者は8.2%で、2018年調査(13.9%)をピークに減少が続いている。中小企業はオーナー経営が多く、世襲による経営者の交代が主流だが、その傾向が強まっていることがうかがえる。

 後継者が子供でない理由は、「子供に継ぐ意思がない」が45.2%で最も多い。次いで、「子供がいない」が23.3%で多く、このほか「血縁ではなく、能力・適性を重視するため」が19.2%、「苦労が多く、子供に継がせたくない」が4.1%などとなっている。これを前回調査と比べると、「子供に継ぐ意思がない」と答えた経営者が12.7ポイントと大幅に増加しており、子供にとって事業を継承する魅力が薄れていることがうかがえる。

 事業承継に係る相談先(3つまで回答)は、「顧問の税理士、公認会計士、弁護士」が73.5%で最も多い。事業承継問題を解決するためには、税務や法務などの専門家の力を借りることが必要となるためであろう。これに、「取引金融機関」が 47.5%で続いており、金融機関に対する潜在的な相談ニーズは高いことがうかがえる。総じて、中小企業では、これまでの付き合いを通じて信頼できる相手に相談している経営者が多いといえる。

 同調査結果は

https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2024/2024-7-25.pdf