2024年度に賃上げを実施する企業は86.9%の見込み

 十六総合研究所が岐阜県・愛知県の企業を対象に実施した「賃上げに関する特別調査」結果(有効回答数244社)によると、2024年4月~2025年3月における、賃上げ(「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」等)の実施の有無は、「実施した」と回答した企業の割合が63.5%、「実施する予定」とが23.4%で、合わせて86.9%が賃上げを実施する見込みとなった。

 同所が過去に実施した賃上げに関する調査(22年度調査、23年度調査)と比較すると「実施した」・「実施する予定」と回答した企業は前年度に9割を超え、今年度も約9割と高水準で推移した。次に、調査対象を7つの業種グループに分類してそれぞれの傾向をみると、賃上げを「実施した」・「実施する予定」と回答した企業の割合が最も高いのは「加工・組立型」の97.3%で、22年度からほぼすべての企業が賃上げを実施しているとみられる。

 賃上げを「実施・実施する予定」と回答した企業が、実施(予定)した賃上げの内容(複数回答)は、年齢や勤続年数などに応じて毎月の給与を増やす「定期昇給」が前年度から引き続き最も多く、74.1%の企業が回答。次いで、基本給全体の水準を底上げする「ベースアップ」が多く、57.1%だった。一度引き上げた基本給は業績悪化などの理由で引き下げることが難しいが、24年度は、約6割(57.1%)の企業が実施を見込む。

 また、前年度では7位だった「給与制度の変更等による実質的な賃上げ」の割合が12.3%と大きく上昇し、5位に浮上した。一方、「賞与(一時金)」は29.7%(前年比 15.7ポイント減)と大きく低下しており、物価上昇を一時金で補填するのではなく、ベースアップや給与制度の見直しなど持続的な賃上げに踏み込んだ企業が増えたものとみられている。

 従業員規模別でみると、規模の大きい企業ほど「定期昇給」や「ベースアップ」、「新卒者の初任給の増額」等を実施(予定)した割合が高い傾向がみられた。一方、「賞与(一時金)」の割合は100人未満の規模では約3割~4割、100人以上では約2割と規模の小さい企業ほど実施割合が高い傾向がみられた。また、すべての規模で「新卒者の初任給の増額」が前年比上昇しており、若年層の獲得競争が激化している。

 賃上げを「実施した」・「実施する予定」と回答した企業の賃上げ率(年収ベース)は、「2%以上~3%未満」が最多の21.8%。22年度、前年度調査では「1%以上~2%未満」が最多だったが、物価高への配慮や人手不足感の強まりなどが賃上げ率を押し上げ、「3%以上」の賃上げをする企業は前年度調査から11.3ポイント上昇し53.5%を占めた。

 同調査結果は

https://www.16souken.co.jp/assets/202408/HP207tokubetu.pdf