金融庁、NISAの利便性向上を中心とした改正要望

 金融庁は、2025年度税制改正に向けて、政府の目指す「資産所得倍増プラン」及び「資産運用立国」の実現のため、NISAの利便性向上等を中心とした改正要望を掲げた。2024年1月から新しいNISAが開始され、2024年3月末時点でNISA口座数が約2323万口座、買付額は約41兆円となるなど、NISAは国民の安定的な資産形成の手段の一つとして受け入れられつつある。

 国民の安定的な資産形成を引き続き支援していくため、NISAに関する手続きの更なる簡素化・合理化や対象商品(ETF)の要件の見直しなどに取り組み、利便性の向上を図る必要がある。ETF(上場株式投資信託)は、投資信託よりも信託報酬が安い商品が多いほか、近年は銘柄数の増加や商品の多様化が進んでいる。一方で、NISAにおける利用実績は極めて少ない状況にある。

 そこで、つみたて投資枠に指数に連動しないアクティブ型のETFを対象に含め、更なる利用拡大を図る考えだ。東証の規則改正により、 2023年6月以降、インデックスへの連動を必要としないアクティブETFの上場が可能になった。つみたて投資枠においてもアクティブETFが利用可能となるよう、要件を整備することを求める。同時に、つみたて投資枠におけるETFの最低取引単位の見直しも要望した。

  つみたて投資枠におけるETFの要件は、最低取引単位1000円以下だが、現状、売買単位あたりの価格が1000円以下の指定インデックスに連動するETFは存在しない中、単位未満の取引を可能とするためには、証券会社等のシステム構築等が必要となる。最低取引単位を見直すことで、ETFの取扱いのハードルが下がるため、多様な商品を提供可能になる。NISAにおけるETFの利便性向上の観点から、最低取引単位の見直しを求めた。

 そのほか、NISAの更なる利便性向上等のため、NISA口座の開設10年後の利用者の所在地確認の手続きは、郵送確認を念頭に置いているが、この手続きのデジタル化・簡素化を求めた。また、NISA口座を開く金融機関を変更した場合、申込みから買付が可能となるまで1~2週間を要するが、その間に買付意欲を失うケースが存在するため、金融機関変更時の即日買付が可能になるように、税務署の確認手続きなど運用面の見直しを求めた。 

 金融庁の2025年度税制改正要望は

https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20240830/01.pdf