税務署長等に不服申立てができる場合とできない場合

 税務署長等が行った更正などの課税処分や差押えなどの滞納処分に不服があるときは、これらの処分を行った税務署長等に対して不服を申し立てることができる行政上の救済制度がある。これを「再調査の請求」というが、再調査の請求は、原則として処分の通知を受けた日の翌日から3ヵ月以内に税務署長等に再調査の請求書を提出することにより行う。ちなみに、再調査の請求の発生件数は、2023年度に2494件あった。

 再調査の請求書を受理した税務署長等は、その処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を再調査決定書謄本により納税者に通知することになる。さらに、税務署長等が行った処分に不服があるときは、その処分の取消しや変更を求めて国税不服審判所長に対して不服を申し立てることができる。これを「審査請求」というが、この再調査の請求を経ずに、直接国税不服審判所長に対して審査請求を行うこともできる。

 ところで、再調査の請求の不服申立てはできる場合とできない場合がある。税務署長等から、例えば、(1)納付税額を増加させる更正処分、(2)申告のない場合に納付税額を決定する決定処分、(3)更正の請求に対して行われた更正をすべき理由がない旨の通知処分、(4)加算税の賦課決定処分、(5)青色申告の承認の取消処分、(6)差押え等の滞納処分、(7)納税告知処分のような処分を受けそれに不服がある場合には、不服申立てをすることができる。

 一方、不服申立てができない場合とは、(1)納付税額を減少または還付金額を増加させる処分(その理由は、その処分によって自己の権利または法律上の利益が侵害されていないから)、(2)誤って納付税額を過大に申告した場合(その理由は、処分を受けていないから)が該当し、このような場合には不服申立てをすることができない。なお、この場合に申告した納付税額を正しい税額に是正するためには、「更正の請求」の手続きによることになる。