給与所得者も輸入品を引取時は消費税納税義務あり

 消費税は、販売が輸出取引に当たる輸出品の場合には免除されるが、反対に、保税地域(輸出入する際に貨物を留置きする場所)から引き取られる外国貨物、いわゆる輸入品には、原則として消費税がかかる。この外国貨物を保税地域から引き取る者は、原則としてその引取りの時までに輸入申告書を提出し、消費税を納付しなければならない。なお、外国貨物の引取りについても、別途地方消費税が課税される。

 外国貨物の課税標準は、関税課税価格いわゆるCIF価格に消費税以外の個別消費税の額および関税の額に相当する金額を加算した合計額となる。輸入品を引き取る取引が対価性のない取引(無償取引)であっても消費税が課税される。CIF価格とは、インコタームズ(国際貿易取引条件)のひとつで、運賃、保険料込み条件の貿易価格をいい、本船渡し条件価額であるFOB価格に仕向け地までの運賃と保険料を加えた価格をいう。

 納税義務者については、輸入品を引き取る者が消費税の納税義務を負うこととなる。したがって、免税事業者はもとより、個人事業者でない給与所得者等であっても、輸入品を引き取るときには納税義務者となる。つまり、輸入品を引き取る取引については、事業者が事業として対価を得て行った取引(事業取引)でないとしても、消費税が課税されることされているわけだ。

 申告等の方法については、輸入品を保税地域から引き取ろうとする者は、原則として、品名、数量、金額等と消費税額などを記載した申告書を、保税地域を所轄する税関長に提出し、引き取るときまでに消費税を納付しなければならない。ただし、税関長に納期限の延長についての申請書を提出し、担保を提供すれば、担保の額の範囲内の消費税額について、最長3ヵ月間の納期限の延長が認められる。

 輸入取引に係る消費税の納税地は、課税貨物を引き取る保税地域の所在地(その保税地域を所轄している税関の所在地)となる。外国貨物の引き取りに係る納税地は、国内取引に係る納税地(個人の所在地若しくは法人の本店又は主たる事務所の所在地)と同一の場所にはならない。