実質成長率は2024年度0.7%、25年度1.2%と予測

 信金中央金庫が発表した経済見通しでは、実質成長率を2024年度0.7%、25年度1.2%と予測した。2024年4~6月の実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比 1.0%増と5四半期ぶりに増加した。認証不正問題で落ち込んでいた自動車販売が持ち直したほか、気温の上昇に伴ってエアコンなど季節家電や夏物衣料の販売が増えた。自動車工場の稼働再開に伴って設備投資も0.9%増とプラスに転じた。

 一方、世界的な生産活動の停滞が続き、モノ(財)の輸出は弱い動きが続いたが、自動車輸出の持ち直しが寄与した。また、知的財産権等使用量の受取が拡大したことからサービス輸出全体では前期比4.2%増と伸びて下支えとなったが、輸出は1.4%増と輸入の伸び(1.7%増)を下回ったため、輸出から輸入を差し引いた純輸出は年率換算の実質成長率を 0.4ポイント押し下げた。

 4~6月のGDP統計では、個人消費と設備投資がプラスに転じるなど内需の持直しが確認された。自動車の認証不正で落ち込んだ前期からの反動といった側面も大きいが、実質個人消費は1年前の水準近くまで回復した。個人消費の回復は、6月に開始された所得税・住民税減税に伴う一時的な効果も小さくなかった。もっとも、ウエイトの大きいサービス消費が横ばい圏の動きにとどまるなど消費全体に回復感が広がってきたわけではない。

 賃上げの広がりは好材料だが、物価高継続の影響で家計の節約志向は根強く、個人消費の本格回復までは期待できない。世界的な生産活動の回復にもなお時間を要する見通しで、輸出の回復にも弾みがつかないとみられる。日本経済の回復ペースは当面も緩慢なものにとどまると予想される。これらの経済分析の結果、2024年度の実質成長率は0.7%と前回予測の0.5%から上方修正している。

 これは、世界的な生産活動の停滞で輸出の回復が遅れる一方、予想を上回る賃上げ率や夏季ボーナスの増額を受けて個人消費の伸びを上方修正したためだ。2025年度は賃上げ率が鈍化するものの、物価上昇が一服することで実質個人消費が底堅く推移すると予測。世界の生産活動が上向き、輸出が回復の勢いを取り戻すと想定していることも成長率の押上げに寄与し、実質成長率は1.2%と前回予測の1.1%から小幅ながら上方修正した。

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