申請書の提出期限の延長申請承認取消しが適法と判断

 請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分の可否が争われた事件で国税不服審判所は、請求人が青色申請を期限までにできなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにも拘わらずされたものだから、同取消処分が適法として、災害による申告、納付等の期限延長申請の承認取消処分を適法とした。

 この事件は、審査請求人が、G税務署長に対し所得税の青色申告承認申請書の提出期限の延長申請をし、G税務署長が提出期限を令和2年8月5日まで延長する旨承認していたところ、原処分庁が、請求人にはその申請にいう事情があったとは認められないとして承認の取消処分及び所得税等の更正処分等をしたことから、請求人が、原処分の全部の取消しを求めるとともに、延滞税の取消しを求めた事案である。

 請求人は、「新型コロナによる外出自粛の影響で提出が遅れた」と記載した青色申告承認申請書の提出が提出期限後となったのは、新型コロナによる外出自粛要請を受けて外出自粛等をしていたためで、これらの事情は、国税通則法に規定する「災害その他やむを得ない理由により、申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」に該当すると指摘した。

 このことから、原処分庁が、上記記載による同申請書の提出期限の延長申請に係る承認を後日取り消した処分は違法である旨主張した。しかし裁決は、本件取消処分の適否を判断するに当たっては、延長承認がされた時点における事情に照らし、延長承認に違法等が認められるか否かを審理判断すべきであり、具体的には、本件延長承認が国税通則法第11条に適合するものであったか否かを検討すべきであったと指摘。

 しかし、青色申請書の提出が提出期限後になったのは、提出期限後になって特別償却の適用を受けるために青色申告の承認を受けようとしたという理由によるもので、新型コロナの感染拡大を理由とするものではないから、「災害その他やむを得ない理由」には該当しないと判断。青色申告承認申請書の提出期限の延長承認の要件を満たさないことから、職権で取り消したことが適法と判断して、請求を棄却したものである。

(令和5年11月15日裁決)