8月の食品値上げ642品目、続く値上げ沈静化の傾向

 帝国データバンクが発表した「食品主要195社の価格改定動向調査」結果によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした8月の飲食料品値上げは642品目を数えた。値上げが一服傾向を迎えた前年同月(1197品目)に比べて555品目・46.4%減と、8ヵ月連続で前年同月を下回ったほか、4ヵ月連続で1千品目以下の水準にとどまり、値上げ沈静化の傾向が続いた。

 また、値上げ1回あたりの平均値上げ率は8月単月で12%となり、2024年内では最も低い水準だった。2024年通年の値上げ品目数(予定含む)は11月までの累計で1万1617品目となり、年間の平均値上げ率は17%となった。2024年の値上げ要因では、「物流費」の上昇による影響が広がりをみせ、24年(1~11月)に予定される値上げ品目のうち、「物流費」要因の値上げが品目数ベースで68.2%と、前年の同時期(57.5%)に比べて上昇した。

 急速に進んだ円安ドル高による輸入コスト増を背景に、「円安」要因の値上げは30.2%に達した。要因として最も大きい「原材料高」は92.4%を占め、特に春以降の値上げで原材料高の影響が広がった。猛暑や干ばつなど天候不順による不作の影響を受けた値上げが多く、なかでも「チョコレート」を使用する幅広い食品で大幅に価格を引上げる動きが相次いでいる。

 2024年8月の値上げは「加工食品」が全食品分野で最も多い319 品目だった。輸入小麦で輸送費の上昇などを背景に、大手各社で乾麺やソースなど「パスタ製品」で一斉値上げが目立ったほか、家庭用ミックス粉など「原材料」(52品目)も値上げとなる。「菓子」(128 品目)は、引き続き原料となるカカオ豆の価格高騰を背景に、「チョコレート製品」の値上げが中心となる。

 一時的に160円を超える急激な円安の進行に加え、食品トレーやビンなど包装資材、物流費などのコスト増が複合的に発生している。また、オレンジジュースやチョコレート製品では、大雨や猛暑、干ばつをはじめとする世界的な異常気象による原材料高が表面化。国産由来の原料でも原料米価格の高騰を背景にパックごはん製品で価格が引き上げられ、飲食料品に対する値上げ圧力は高まった状態が続いている。

 先行きでは、10月の食品値上げ予定品目数が今年4月以来となる2千品目台で推移している。資材価格の高騰が続くビール類やRTD飲料、日本酒など酒類製品で値上げが実施される場合、2023年10月並みとなる4千品目前後に到達する可能性がある。24年通年では、10月に値上げラッシュを迎えた後は11・12月ともに総じて落ち着いた推移が想定され、1万5千品目前後での着地が予想されている。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240719.pdf