2024年分の路線価等は7月1日に公表されたが、なかには路線価の設定がされていない道路もある。宅地を相続した場合や贈与された場合に、その宅地が面している道路に路線価がないということがある。このような宅地について相続税や贈与税を申告するときは、その宅地の価額を評価するために特定路線価の設定を申請することができる。特定路線価とは、路線価がない道路について、税務署に特別に設定してもらった路線価のことをいう。
特定路線価の設定を申請するには、申請対象の道路や特定路線価で評価する土地が一定の条件を満たしている必要がある。まず、特定路線価の設定を必要とする年分の路線価が公開されていなければならない。路線価が公開される前に特定路線価の設定を申請することはできないのだ。特定路線価の設定の目的は、相続税または贈与税の申告に限られおり、その他の目的で特定路線価を設定することはできない。
評価する土地は、路線価地域(路線価方式で評価する地域)になければならない。倍率地域(倍率方式で評価する地域)にある場合は、路線価ではなく固定資産税評価額をもとに評価するため、特定路線価を設定する必要はない。評価する土地は、路線価がない道路のみに接していなければならない。二つ以上の道路に接していて、路線価がある道路が一つでもあれば、特定路線価を設定することはできない。
このような土地は、路線価がある道路のみに接しているものとして評価する。評価する土地の専用通路に特定路線価を設定することはできず、専用通路は評価する土地の一部として評価することになる。また、特定路線価を設定する道路は建築基準法上の道路等に限られる。建築基準法上の道路等にあてはまるかどうかは、都道府県や市町村の担当部署(建築指導課など)で確認できる。
特定路線価設定の申請ができるのは、相続税または贈与税の申告のために特定路線価の設定が必要となる人。特定路線価の設定を申請するには、納税地を所轄する税務署に「特定路線価設定申出書」を提出する。申出書には、「別紙 特定路線価により評価する土地等及び特定路線価を設定する道路の所在地、状況等の明細書」や、物件案内図、地形図、写真などの資料を添付する。
添付する資料は、特定路線価で評価する土地や申請対象の道路、その道路に接して路線価がある道路などの状況がわかるものを準備する。申出書や別紙の様式は税務署に用意されているほか、国税庁ホームページからダウンロードすることもできる。申出書を提出してから審査が済むまで1ヵ月程度の期間がかかるので、余裕を持って申請することをお勧めしたい。