23年度コンプラ違反倒産、初の350件超、「粉飾」増加

 帝国データバンクでは、売上の架空計上や融通手形などの「粉飾」をはじめ、法律違反に伴い行政処分を受けるなどの「業法違反」、所得・資産の隠蔽などの「脱税」のほか、コンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産(コンプラ違反倒産)」と定義して、2023年度(2023年4月~2024年3月)の同倒産(法的整理のみ、負債1000万円以上)について分析した。

 その調査結果によると、2023年度の「コンプライアンス違反倒産」は351件を数えた。2022年度から50件(前年度比16.6%)増加し、3年連続で前年度を上回り、比較可能な2003年度以降で初めて350件を超えた。業種別(大分類)にみると、「サービス業」が88件(構成比25.1%)で最も多く、「建設業」が61件(同17.4%)、「小売業」が57件(同16.2%)と続いた。

 違反類型別にみると、「業法違反」が84件(前年度64件、構成比 23.9%)で最も多かった。次いで「粉飾」が81件(同63件、23.1%)と続いた。「粉飾」は、コロナ禍前から増加傾向にあったが、2020年以降のゼロゼロ融資等の各種支援策の効果もあり、表面化しづらい状況が続いていた。しかし、アフターコロナで資金調達環境や経済環境が変わるなかで、再び増加傾向を示している。

 加えて、粉飾決算を伴う倒産企業のなかには、負債額が50億円を超える大型倒産もみられ、金融機関をはじめとする多くの取引先を巻き込むケースが相次いでいる。また、コロナ禍の雇用調整助成金などの各種補助金・支援金の「不正受給」は前年度の12件から30件へと2.5倍に急増した。2023 年度の倒産件数全体は8881件(前年度比30.6%増)と増加傾向で推移するなか、コンプラ違反倒産は3年連続で前年度を上回る高水準で発生した。

 コロナ融資で過剰な債務を抱えた企業が、資金繰りの悪化から金融機関に対して返済猶予や追加支援を申し入れたタイミングで粉飾決算が発覚し、金融支援の道を断たれて行き詰まるケースなどがみられた。引き続きコンプライアンス違反に対する社会の目は厳しく、ささいな違反でも信用が大きく失墜する事態になりかねず、企業経営者にはあらためて法令順守による健全経営の意識が求められる。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240410.pdf