2023年度の「農業」倒産77件、年度最多を更新中

 東京商工リサーチが発表した「2023年度(4~2月)の農業の倒産動向調査」結果によると、2023年度の「農業」の倒産は、2月までの累計が77件に達した。すでに過去最多だった前年度(4~3月)の76件を上回り、年度別では過去最多を更新中だ。「農業」の倒産は、この10年間では2019年度に前年度比65.1%増の71件と急増。背景には後継者難や人手不足、収益低迷など農業の抱える問題が顕在化した。

 その後、2021年度はコロナ禍に見舞われたが、コロナ関連支援などで45件と大幅に減少。2022年度は深刻な燃料高・飼料高でコストアップが収益を直撃し、さらに畜産業で豚コレラなどの伝染病など想定外のリスクが表面化し、大手業者の破たんが目立った。2023年度は、大型倒産こそ減少したが、燃料や飼料の高止まりに加え、コロナ関連支援の縮小による息切れやあきらめ倒産が増加した。

 業種別(小分類)では、最多が「耕種農業」の48件(前年度比14.2%増)。耕種農業のうち、最多は野菜作農業の37件で突出した。野菜作農業のうち、きのこ類の栽培業者が16件発生。きのこ類は省スペースの反面、温度や湿度管理が求められるため、燃料費の高騰が経営の圧迫要因となった。次いで、「畜産農業」の22件(同▲21.4%減)で、養豚業が最多の7件、次いで養鶏業が4件、肉用牛生産業が3件と続く。

 負債額のレンジ別では負債「1千万円以上5千万円未満」が最多の27件(前年度比▲10.0%減)。これを含む負債1億円未満が48件(同11.6%増)と増加し、全体の6割を占めた。また、中堅規模の負債「1億円以上10億円未満」も26件(同44.4%増)と増加したが、負債10億円以上の大型倒産は3件(同▲80.0%減)にとどまり、前年度の15件から大幅に減少した。

 業歴別の最多は「10~20年未満」の22件(構成比28.5%)で約3割を占めた。次いで「5~10年未満」の15件(同19.4%)、「1~5年未満」の9件(同11.6%)と続き、業歴20年未満の新興企業が46件(同59.7%)と、約6割を占めた。小資本で設立したものの、事業計画の見込みが甘かったり、事業基盤が安定化しないうちに経営環境の悪化に見舞われたケースなどが多い。

 形態別では「破産」が最多の64件(前年度比14.2%増)で全体の8割(構成比83.1%)にのぼった。このほか、特別清算の10件を含む消滅型倒産が74件(同23.3%増)にのぼり、構成比は96.1%と大半を占めた。再建型倒産は、民事再生法の2件(同▲84.6%減)のみ。前年度は鶏卵や畜産の大手業者やそのグループ会社の破綻が相次ぎ、再建型倒産が15件発生したが、2023年度は負債の小型化とともに消滅型倒産が中心となった。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198454_1527.html