正社員の採用予定は3年連続6割超も、3年ぶり低下

 帝国データバンクが発表した「2024年度の雇用動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1267社)によると、2024年度(2024年4月~2025年3月入社)の正社員の採用状況は、『採用予定がある』(「増加する」、「変わらない」、「減少する」の合計)と考えている企業は前回調査(2023年2月実施)から▲1.5ポイント減の61.5%となった。3年連続で6割を超えたものの、3年ぶりに前年を下回った。

 また、採用予定がある企業の内訳は、採用人数が「増加する」企業が同▲2.0ポイント減の23.7%だった一方、「減少する」企業は同1.5 ポイント増の8.6%となり、雇用動向は前年度までの勢いがやや鈍化した。規模別に正社員の『採用予定がある』割合をみると、「大企業」は84.9%と全体(61.5%)を大幅に上回った。一方で、「中小企業」は57.5%、うち「小規模企業」は39.9%となり、企業規模が小さいほど割合が低くなる傾向がみられる。

 業界別に正社員の『採用予定がある』割合をみると、「2024 年問題」が懸念されている『運輸・倉庫』が69.7%で最も高く、同様に人手不足が深刻化している『建設』のほか、『サービス』(ともに66.6%)も7割近くで続いた。さらに細かい業種でみると、コロナの落ち着きによる人流の増加やインバウンドの好調で人手不足感が高まる「旅館・ホテル」が8割にのぼった。

 一方、2024年度の非正社員の採用状況は、『採用予定がある』企業は45.9%(前年度比▲ 1.4ポイント減)と3年ぶりに低下した。コロナ前の2018年度に52.4%の高い水準にあったが、2021年度には36.8%にまで低下。その後は需要の回復とともに上向いてきたが、ここにきてペースダウンした。一方、『採用予定はない』企業は同1.2 ポイント増の40.4%となり、2年ぶりに4割を超えた。

 規模別に非正社員の『採用予定がある』割合をみると、正社員と同様に企業規模が小さいほど割合が低くなっている。業界別では、『運輸・倉庫』が54.7%で最も高く、『サービス』(54.0%)、『金融』(52.6%)なども5割台で続いた。細かい業種別では「飲食店」(88.1%)や「旅館・ホテル」(84.2%)といった個人消費関連の業種で『採用予定がある』割合が高い傾向となっている。

 将来的な労働力不足に対して多様な人材の活躍が期待されるなか、今後の「外国人」、「高齢者」、「女性」、「障害者」の雇用・採用状況は、いずれかの人材を『採用予定がある』企業は78.4%。なかでも、「採用を拡大」する予定の企業は37.7%と、4割近くの企業で多様な人材の採用を強化する動きがある。『採用予定がある』について人材別にみると、「女性」は72.6%、「高齢者」が50.2%、「外国人」(31.6%)、「障害者」(30.4%)は3割台となった。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240308.pdf