2月の食品値上げ1626品目、4ヵ月ぶり1千品目台

 帝国データバンクが発表した「食品主要195社の価格改定動向調査」結果によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした2月の飲食料品値上げは1626品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となった。単月の値上げ品目数としては2023年10月以来4ヵ月ぶりに1千品目を上回った。2千品目を超える値上げが常態化していた前年中旬までの推移と比較しても大幅に少ない水準で推移している。

 この結果、2024年通年の値上げ品目数は5月までの累計で4556品目判明し、年間の平均値上げ率は17%に達した。1~5月間の値上げ品目数を比較すると、23年比(1万6106品目)では71.7%減と大幅減で推移するものの、値上げラッシュ本格化前の22年比(5824品目)では21.8%減にとどまった。23年中旬にかけた段階的な価格転嫁=値上げが浸透し採算性の改善がみられ、値上げの勢いは総じて鈍化した状態が続いている。

 前年の主な値上げ要因だった原材料高は一服感が目立つ。2024年に予定される値上げ4556品目のうち、「原材料高」を理由とした値上げは84.6%(品目数ベース)となり、前年同期(98.9%)を大幅に下回ったほか、「エネルギー」などの割合も低下した。そのほか、「包装・材料費」(69.9%)や「物流費」(55.5%)は上昇する一方、「円安」(39.9%)、「人件費」(18.1%)などは前年同期から倍増するなど大幅に上昇した。

 2024年2月の値上げは、パスタソースなどパウチ常温食品を中心とした「加工食品」(643品目)が全食品分野で最も多かった。「調味料」(545品目)は、削り節などのだし製品やケチャップなどトマト加工品が中心だった。「酒類・飲料」(166品目)も、トマトジュースなどトマト加工品で多く、世界的な猛暑による不作など「トマトショック」が価格にも影響したとみられる。1~5月間の年間比較では、「加工食品」(2261品目)が最も多かった。

 今後の見通しをみると、足元では、円安の影響による輸入コスト増といった原材料以外のコスト高騰分を価格へ十分に反映できないケースもある。ただ、前年末に円高基調で推移した為替レートで、将来的な輸入コストの低下に期待感も高まっている。中東情勢の混乱や電気代の引き上げなどリスクはあるものの、原料高騰を中心とした値上げ機運は前年の同じ時期に比べて後退傾向がみられる。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240113.pdf