「コストが上昇せず価格転嫁が不要」が約2倍に増加

 経済産業省が公表した「価格交渉促進月間(2023年9月)フォローアップ調査(速報版)」では、前回調査(2023年3月)と比較して、(1)「コストが上昇せず、交渉・転嫁が不要」企業が増加する中で、(2)価格交渉については、発注企業の意識の向上が見られ、受注企業が価格交渉できる雰囲気が醸成されつつあり、(3)価格転嫁については、全く転嫁ができなかったという企業が減少しており、価格転嫁の裾野が広がりつつあるとみられている。

 中小企業庁では、2023年9月「価格交渉促進月間」において、中小企業・小規模事業者の取引状況を正確に把握するため、(1)中小企業の価格転嫁に関するアンケート調査と、(2)下請Gメンによるヒアリングを実施した。中小企業・小規模事業者を対象に、主な取引先となる発注企業との間で、どの程度価格交渉・価格転嫁が行われたかを問うアンケート調査を実施した。

 調査結果(有効回答数3万5175社)によると、全体的な傾向として、価格転嫁・価格交渉ともに、「コストが上昇せず、価格転嫁は不要」旨の回答の割合が、約2倍に増加。価格交渉については、①「発注企業からの交渉申し入れをきっかけに交渉が行われた」企業の割合が約2倍に増加、②また、「コストが上昇し、交渉を希望したが、交渉が行われず」の割合は減少という結果となり、価格交渉しやすい雰囲気が徐々に醸成されつつある。

 コスト全体の転嫁率は、3月時点より微減(47.6%→45.7%)となった。一方で、「コストが上昇せず、価格転嫁が不要」の割合が約2倍に増加(8.4%→16.2%)。コスト上昇が一服し、あるいは既に価格転嫁(値上げ)できたため、価格転嫁が不要と考える企業が増加傾向にある。また、「全く転嫁できなかった」、「コストが増加したのに減額された」割合の合計は減少(23.5%→20.7%)。価格転嫁の裾野は広がりつつある。

 中小企業・小規模事業者に対し、価格交渉・価格転嫁の状況についての下請Gメンによるヒアリング調査は現在も実施中(10月23日から12月6日予定)。なお、ヒアリング先は、地域特性や業種バランスに配慮した上で、商慣習等によりコストが取引価格に反映できていない状況や、発注側企業との間で、十分な価格交渉が行われていない状況が見られた事業者等も含め、対象先を選定。ヒアリング件数は約2000社だ。

 同フォローアップ調査結果は

https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231128005/20231128005-1.pdf