学部卒生の総合職採用で初任給引き上げた企業は70%

 マイナビがこのほど発表した「2024年卒企業新卒採用活動調査」結果(有効回答数3113社)によると、2024年卒採用について、6月時点の採用充足率が「5割以上」の企業は前年比4.8ポイント減の39.5%で、新型コロナウイルスの影響が大きかった2021年卒の40.9%を下回った。また、学部卒生の総合職採用で初任給を引き上げた企業は70.0%、引上げ額が最も多かったのは「5000円~1円未満」で36.0%だった。

 引上げの理由(複数回答)は、「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」(53.0%)が最多、次いで「求職者へのアピールのため」(48.8%)。また、上場企業では全体と同じく「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」(63.0%)が最も多いが、2位は「定着率を高める・離職を防ぐため」(44.1%)だった。従業員全体の定着率向上・離職防止も意識しながら、給与制度の見直しを行った企業が多かったようだ。

 新卒採用におけるAI活用については、学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は4.6%にとどまった。学生調査では、就職活動で生成系AIの利用経験がある学生は18.4%だったため、学生の利用経験と企業の利用実感には差がある。学生の活用方法では「文章の添削・校正に使用」、「ひな形になる文章の作成に利用」などが挙がり、学生はあくまで補助的なツールとして活用しており、利用実態と企業の実感に差がある。

 就職活動で学生が生成系AIを利用することについては、最多の回答は「使い方を慎重に検討したうえで活用してほしい」の41.2%。自由回答をみると、「面白い使い方をした学生がいれば評価したい」など、AIを使いこなすスキルとして好意的捉えるコメントが挙がる一方で、“選考に通過できそうな選考書類の作成”を目的としたAI活用で就活生本人の意見と乖離した内容にならないように、という旨のコメントがみられた。

 企業の採用意欲は高まる一方で確実に若者の人口減少は進み、“なるべく多くの母集団を確保して、入社してほしい学生を見極める”という選考方法には変革が求められているのかもしれない。また、学生はエントリー企業を絞り込む傾向が強くなっているが、準備期間中の限られた情報のみで受験企業を選定してしまうことにより、視野が狭くなってしまわないように注意が必要と考えられる。

 同調査結果の概要は

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20230718_54858/