短期前払費用が仕入税額控除の適用を受けるためには

 短期前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしており、また、その前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っていたケースでは、インボイス制度において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、引き続き、その前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができるのだろうか。

 法人税の計算において、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち支出した事業年度終了時にまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう)の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合、その支払った相当金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、その前払費用を損金の額に算入することが認められている。

 消費税の計算についても、その取扱いの適用を受ける前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととしており、これは、インボイス制度においても同様となる。このような前払費用については、インボイス制度においても、現行制度と同様にその支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととなる。

 ただし、その前払費用に係る課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要となる。したがって、その前払費用に係る適格請求書等を保存している場合は、引き続き、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができることになる。

 また、その前払費用に係る課税仕入れが適格請求書発行事業者から行われるものである場合には、その前払費用を支出した日の属する課税期間において適格請求書の交付を受けられなかったとしても、事後に交付される適格請求書を保存することを条件として、その前払費用として支出した額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えないとされている。