中小企業のIT・ソフトウェアの活用状況を調査

 商工中金が発表した「中小企業のIT・ソフトウェアの活用状況に関する調査」結果(有効回答数4800社)によると、中小企業における、連絡・情報共有のデジタル化のフェーズについて、「社内では一部の業務・部署でデジタル化、社外でも一部の相手先との間でデジタル化」できているという段階の企業が全体の54.0%と約半数を占めた。社内・社外との連絡・情報共有を「十分にデジタル化」できている割合は全体の4.5%にとどまる。

 従業員規模別にみると、社内外ともアナログツールを中心に利用している企業の割合は、「10人以下」の26.9%から「101人以上」の7.8%まで規模が大きくなればなるほど、低い。製造業のほうが、非製造業に比べて社内外でデジタル化が進んでいる傾向にあるものの、いずれも業種間のばらつきが大きい。情報通信業、電気機器、化学、輸送用機器などの業種では比較的デジタル化が進んでいることがうかがえる。

 IT・ソフトウェアの分野別導入状況をみると、「経理・経費・会計システム」(78.0%)が最も導入比率が高く、「人事・労務・勤怠管理」(52.8%)が続く。それ以外の分野は「現状予定なし」が半数以上を占める。業種ごとに、より詳細にみると、IT・ソフトウェアの活用に積極的とみられる情報通信業、電気機器では、「グループウェア」、「コミュニケーション」等の分野での導入が他の業種よりも進んでいる。

 IT・ソフトウェアの分野別導入目的は、すべての分野で「事務効率化・合理化」を目的とする割合が最も高い。IT・ソフトウェアの分野別導入目的の上位3項目をみると、第1位は「事務効率化・合理化」で共通しているが、第2位以降は項目ごとに違いがみられる。最も多く導入されている「経理・経費・会計システム」については第2位が「外部要請」となっており、法令対応や取引先からの依頼などが後押しとなっていることもうかがえる。

 IT・ソフトウェアの分野別の導入における課題・ネックについては、「特になし」が全項目とも最多となっているが、それ以外の項目では、「費用対効果」や「社内の体制や仕組みが不十分」の回答割合が高い。「特になし」を除いた場合、全体的に最も回答割合が高い「費用対効果」は人事・労務・勤務管理で37.2%と特に高く、「社内の体制が不十分」はグループウェア(25.8%)やコミュニケーション(22.9%)で高い割合となっている。

 IT・ソフトウェアのうち導入して最もよかった・効果的であった項目では、「経理・経費・会計システム」を挙げる企業の割合が45.2%と高く、導入したが、運用が難しかった・効果が得られなかった項目では、回答が分散したものの、「販売促進・取引管理」(16.2%)、「グループウェア」(14.2%)、「コミュニケーション」(13.7%)などで比較的高い割合となった。

 同調査結果は

https://www.shokochukin.co.jp/report/data/assets/pdf/futai202301.pdf