21年国内ウォッチ市場はコロナ禍払拭し、二ケタ成長

 矢野経済研究所が発表した「国内時計市場に関する調査」結果によると、日本時計協会データによると2021年の国内ウォッチ市場規模は小売金額ベースで、前年比14.6%増の7139億円だった。SNSを活用したインフルエンサー・マーケティングなど新しい取組みによる若い世代の顧客獲得に成功したブランドの増加に加え、コロナ禍などによる経済不況から実物資産としての投資需要が増したことで高級ウォッチの売れ行きが好調となった。

 コロナ禍の影響を払拭し、販売チャネルでは百貨店や時計専門店、インターネット販売を中心に、流通に適した製品展開が奏功した。近年多くのブランドがSDGsやサステナブルを意識した商品を数多く展開している。ウォッチストラップに果物の端材や、ナイロン製の廃棄漁網などを再生して作った素材が採用されているほか、パッケージにプラスチックではなく再生紙を使用するなど、環境に配慮した素材への切替えが進んでいる。

 そのほか、製品売上の一部を環境保護活動に寄付するなど積極的な支援が行われており、自社の成長とともに持続可能(サステナブル)な社会発展の実現に、各社の注力度合いが高まっている。2022年の国内ウォッチ市場(小売金額ベース)は前年比16.3%増の8300億円と予測。国際的な展示会が2年ぶりにリアルで開催されたことや、ラグジュアリースポーツウォッチの人気の高まりにより、ウォッチ業界が再び大きな盛り上がりをみせている。

 コロナ禍の長期化によって「ブランドを選んでもらうための費用対効果を重視したブランド戦略」から「良い商品を適正価格で販売する高付加価値戦略」への動きが強まったことで、これまで以上に新素材や新機構の開発競争の激化が見込まれる。さらに、インバウンド需要の消失が一転し、再び需要が活発化していくとみられることから、国内ウォッチ市場は好調に推移すると予測している。