賃金決定にあたり考慮した要素、トップ「企業業績」

 日本経団連が19日に発表した「2020年1~6月実施分の昇給・ベースアップ実施状況調査」結果(有効回答数486社)によると、賃金決定にあたって主として考慮した要素(2つ回答)は、「企業業績」(67.0%)、「世間相場」(36.0%)、「人材確保・定着率の向上」(27.0%)が上位3つを占める傾向に変化はない。一方で、「世間相場」と「人材確保・定着率の向上」が減少し、「経済・景気の動向」が25.0%に上昇して3位に迫るなどの変化もみられた。

 月例賃金引上げの実施状況をみると、2014年から2019年まで「昇給・ベースアップともに実施」した企業は5割超で推移してきたが、2020年は4割弱(39.2%)に減少した。しかし、「昇給のみ実施」した企業(60.8%)を加えると、すべての回答企業が定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給、ベースアップなど、何らかの方法により月例賃金の増額改定を実施している。この傾向は、2014年から7年連続となっている。

 2020年の月例賃金の引上げ額・率は6206円・2.02%で、額・率ともに前年を下回ったものの、2014年以降7年連続して6000円超、2%超となった。また、2020年の月例賃金の引上げ額・率(6174円・2.00%)の内訳は、昇給が5663円・1.83%、ベースアップが511円・0.17%だった。昇給は5000円台半ばから6000円台前半で推移する傾向に変わりはないものの、ベア分は3年ぶりに1000円を下回った。

 月例賃金の引上げ額の分布状況をみると、「6000円台」(18.8%)が3年連続で最も多くなっているが、「4000円未満」(17.7%)と「4000円台」(16.5%)が前年と比較して増加した。また、1万円以上の割合は6.7%で、前年(13.1%)と比べて6.6ポイントの減少となった。

 同調査結果は↓

http://www.keidanren.or.jp/policy/2021/005.pdf