2019年職場における熱中症による死傷災害は829人

 厚生労働省がこのほど発表した2019年職場における熱中症による死傷災害の発生状況 (確定値)によると、職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数は、 2019年に829人となった。うち死亡者数は25人。記録的な猛暑となった2018年と比べ、死傷者数、死亡者数とも減少となったものの、死傷者数に占める死亡者の割合は高まっており、熱中症による重篤な労働災害が後を絶たない状況にある。

 過去10年間(2010~2019年)の発生状況をみると、年平均で死傷者数595人、死亡者数24人となっており、2019年の死傷者数は、過去10年間で2018年に次いで多い。過去5年間の業種別の熱中症の死傷者数をみると、「建設業」、次いで「製造業」で多く発生しており、全体の4割強がこれら2業種で発生。2019年は、死亡災害のうち10件が建設業において発生しており、 建設業以外の15件では、製造業 と警備業が多くを占めている 。

 2015年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、全体の9割弱が7月及び8月に発生。2019年の死亡災害は6月から10月に発生している。また、2019年の死傷災害の26%は明らかに屋内で作業に従事していたと考えられる状況下で発生。業種別の屋内災害の割合は、「製造業」で66%、「商業」で40%となっており、熱中症は、必ずしも屋外での作業でのみ発症しやすいわけではないことに留意が必要だ。

 年齢階級別に死傷年千人率を計算すると、おおむね 40歳代から 熱中症発症率の高まりが見られ、最も高い55~59歳における死傷年千人率は、最も低い25~29歳の約2倍である。熱中症発症時の衣服は、死亡災害のうち、防護服や着ぐるみなど、熱中症発症時に通気性の悪い衣服を着用していた事例も見られた。また、倒れているところを発見されたなど、熱中症発症から救急搬送までに時間がかかっていると考えられる事例も複数あった。

 なお、今年は、新型コロナ感染症を踏まえ、「新型コロナを想定した新しい生活様式」(2020年5月4日)が示されたことから、職場においても、十分な感染症予防対策を行いながら、熱中症予防措置を講ずる必要がある。厚労省は、顧客や同僚労働者への感染を防ぐために家庭用マスクを着用する機会が増えているが、息苦しさを感じるときは、周囲の人との距離を十分にとれる場所など、マスクをはずせる環境で休憩をとるよう呼びかけている。

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https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11520.html