今年10月から消費増税対応で初診料を60円引上げ

 診療報酬について議論する中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は13日、今年10月に予定される消費税率引上げに伴う医療機関等の負担増を補てんするため、例えば、初診料を現在より6点高い288点に、再診料を1点高い73点に、外来診療料を1点高い74点にするなどの内容を盛り込んだ診療報酬改定を根本匠厚労相に答申した。新たな診療報酬点数表等は今年10月から適用されることになる。

 診療報酬改定の結果、点数(1点10円)で表される診療報酬は、初診料が288点、つまり2880円と60円引き上げられ、2回目以降に支払う再診料は10円引き上げられて730円になる。ただしこれは公定価格であり、健康保険により患者が実際に支払う金額はこのうち1~3割となる。また、薬価・材料価格についても、まず市場実勢価格を踏まえた調整(実勢価改定)を行った上で、消費税引上げ分を上乗せする(108分の110を乗ずる)。

 医療機関の収入の大部分は社会保険診療報酬だが、これらは消費税非課税扱いとなっている。一方で、医療機器の取得や大規模修繕、医薬品や委託費などの経常経費には消費税が課税されている。このため、医療機関等が物品等を購入する際に支払った消費税は患者・保険者に転嫁できず、医療機関が支払った消費税は仕入税額控除でないことから、いわゆる損税が発生している状態にある。

 今回の初診料や再診料の引上げは、医療機関の仕入れにかかる増税分の負担を賄えるよう診療報酬に増税分を上乗せして対応するものだ。しかし、8%への消費増税時にも同様の対応が図られたが、常に高額な最新医療機器を備える病院等では仕入額が大きくなりがちで、この「上乗せ分」ではカバーできていない現状がある。消費増税に伴う医療機関の負担軽減策には課題も多く、今後の対応に関心が寄せられている。